解雇規制緩和論は転職者への影響も考え慎重な議論が必要


 安部政権が推進する経済政策「アベノミクス」の3本の矢のひとつ、成長戦略が徐々にその全貌を見せてきました。しかし政府の産業競争力会議で成熟産業から成長産業への労働力の移動を自由にするため、強く企業から求められていた金銭による正社員の解雇は反対論が多く見送りとなりました。

 

 このニュースを聞いてホッとしたサラリーマンも、少なくなかったと思います。しかし雇用規制の緩和を安部政権が断念したわけではなく、自民党が次回の選挙で大勝すれば正社員の解雇規制緩和論が再び起こってくるでしょう。戦後の終身雇用制度や年功序列制度が崩壊したように、正規雇用規制も遅かれ早かれ崩壊するでしょう。

 

 安部政権が推進する経済政策とはけっしてすべてのサラリーマンを、幸せにすることでも守ることでもありません。それは昔の富国強兵ではありませんが、国を強くすることでいわば富国強国を目指しています。この正規社員の解雇規制緩和が提言された背景には日本は終身雇用制度や、年功序列制度の名残が残っていてかんたんに正社員の解雇ができないからです。

 

 このことが正規雇用と非正規雇用の二重構造を生み、世界のなかでの競争の足を引っ張っているというが政府や企業に言い分です。そのため社員を自主的に辞めさせるために、企業のリストラのやり方も陰湿になるばかりです。なかには規制が緩和され金銭で自由に正社員に解雇できれば、陰湿なリストラもなくなるという人もいます。

 

 たしかに陰湿なリストラはなくなるかもしれませんが、転職を余儀なくされたサラリーマンが巷に溢れることは間違いありません。問題の本質はここにあり、金銭で解雇された場合に次の転職先が見つかるかどうかです。特に40代や50代のサラリーマンにとっては、今でも転職先がかんたんに見つかずに困っています。

 

 政府の解雇規制緩和論にはくれぐれも、慎重に議論を重ねて欲しいものです。